経理の仕事を回していくのはなかなか大変ですよね。
経営に携わっている方や日頃経理を担当されている方なら特に実感されていると思います。
何かと煩わしくて面倒な上に対象範囲も広く、簿記や財務などの専門的知識やエクセルなどのパソコンスキルも求められます。
その一方で、ひとつミスしてしまうと他への影響も大きく、スタッフにとってはプレッシャーのかかる業務でもあります。
また繁忙期には業務が集中し忙しくなるにもかかわらず、閑散期には逆に人手が余ってしまうこともありがちなことです。
かなりクセの強い業務と言えます。
そんな時間と手間がかかってしまう経理業務について、次のようにお考えの方も多いのではないでしょうか。
「経理業務にパワーをとられてしまい本来の業務に時間をかけられない」
「経理の担当者が急にやめてしまった」
この記事では、そんな経理業務を円滑に回していくために、かねてから注目されている「アウトソーシング」について取り上げたいと思います。
経理業務の特性
そんなクセの強い経理業務ですが、まずは経理業務ならではの特性について整理してみましょう。
属人化しがち
まず第一に、経理業務は他の社員から何をしているのかが見えにくいという特徴があります。
特に中小企業の場合、担当者が1人だけというケースも多く見受けられます。
その結果、担当者が自分の仕事が進めやすいように、オリジナルの方法で処理を行いがちです。
そうなると、さらに他者から業務内容や手順が見えにくくなり、属人化してしまうことになります。
経理業務が属人化したとしても、すぐに日常の業務に差し障りはありません。
問題が深刻になるのは、担当者が退職したり、急に休まざるを得なくなった場合です。
これまで担当者の中で蓄積してきた知識やスキルも消えてしまうことになり、会社にとっては大きな損失に繋がります。
次の担当者も簡単に育成できるものではありません。
つまり、経理業務が属人化してしまうと、解消するためにかなりの時間と手間を要します。
業務の属人化に対してしっかり対策を講じておくことは、業務運営上極めて大切なことです。
繁閑差がある
経理は業務の性質上、どうしても繁閑に差が出ます。
特に月末月初や決算期などが忙しくなる傾向にあります。
請求処理や決算事務などは遅れが許されませんから、業務が集中する時期には残業をしてでも処理しなければなりません。
一方で、逆に閑散期には時間に余裕ができます。
こうした繁閑差が大きいことが人の配置を難しくしています。
業務の平準化は、経理業務にとって大きな課題と言えるでしょう。
専門知識をもった人材が必要
さらに、経理業務には専門的な知識が不可欠です。
簿記のスキルはもちろんのこと、確定申告や税務申告もカバーするとなると税務知識も必要になります。
また、経理情報は電子データとして管理されるケースも多く、エクセルや会計ソフトなど、パソコンに関する知識も不可欠です。
こうした知識やスキルがある程度備わっていないと、実務をこなしていくのは難しいかもしれません。
また、売上や利益といった経営計数を扱うことから、経営者としては、経営の視点からの提言も期待したくなります。
以上のように、経理の仕事は急にやれと言ってもできるものではありません。人材配置を含め教育体制やキャリアの蓄積への配慮が不可欠です。
経理業務はアウトソーシングする時代
以上のように、経理業務は他の業務とは異なる特性を持っています。
こうした特性から、経理はアウトソーシングには馴染まないのではないかと考えられてきました。
アウトソーシングに対する考え方の変化
そんな経理業務とアウトソーシングの関係について少しずつ変化が出てきています。
経理業務は複雑で手間もかかり、かなりのパワーが必要になるため、以下のような問題が認識されるようになってきました。
「経理に人をとられて会社の収益性が上がらない」
「本来の業務に集中できない」
競争優位性に差が出にくい間接業務を外部委託することで、社内の経営資源を収益性の大きい業務に投入し、経営の効率性を高めることが重要であると考えられるようになってきました。
こういった流れの中で、経理業務をアウトソーシングする事例も増えてきたわけです。
アウトソーシングの動きは、まず大企業から始まりました。その後、経営資源の限られている中小企業において、自社の社員で対応する必要のない日業務を外注することでコストとリスクを軽減する動きが広がり、今では個人事業主の間にも浸透しつつあります。

アウトソーシングの範囲
さて、そのアウトソーシングについては、「どこまでアウトソーシングするか?」という戦略的視点が重要になります。
アウトソーシングをうまく活用するために、経理業務の一部を依頼するのか全部を依頼するのかを戦略的に明確にしておきましょう。
将来的な経理業務の体制をイメージしながら、まずは部分的に始めるのがおすすめです。
オンラインの活用
コロナ禍によりリモートワークの環境整備や在宅勤務への認知が進みました。
それにつれて、経理業務をオンラインで外注する企業が増えています。
オンラインで依頼する場合、インターネット経由で経理データを外注先と共有し、リモートで業務を進めるスタイルとなります。
業務の進み具合を適宜オンラインで確認できるため、経理業務を「見える化」できるというメリットがあります。
従来の業務では、社員同士のあうんの呼吸でなんとなく業務を進めることもあったかもしれません。
注意点としては、担当者と全てオンラインでやり取りするため、依頼したい業務内容を具体的かつ明確に指示する必要があることです。
委託業務の範囲を明確にするとともに、オンラインにより担当者の仕事の進捗状況や内容が把握できるようになりますので、会社としての業務効率化が期待できます。
アウトソーシングのメリット
経理業務をアウトソーシングするメリットをもう少し整理してみましょう。
コスト削減
まずは「コスト削減」です。
アウトソーシングの費用は時間当たりの人件費に引き直すとやや割高になることもあります。
しかし、実際に人を雇うとなると、給料のほかに社会保険料、福利厚生費等も必要となります。さらに、会社内に机や椅子、パソコンなど備品を用意する必要があります。
一方、アウトソーシングのコストは、原則として外注費(業務委託費)のみで、社会保険料や備品などのコストは必要ありません。(また、社員の個別の事情やモチベーション等に気を遣う必要もありません)
料金は月額で決まっていることが多いため、予算の管理も簡単になります。
専門職のプロが作業を行うため、時間の節約にもなるでしょう。
業者によっては繁忙期の時期や特定の業務だけをスポットで依頼をすることも可能です。
以上のことをトータルで考えれば、自社で人材を採用するよりも人件費を削減することができるはずです。
退職リスクの回避
次に「退職リスクの回避」があげられます。
これまで教育してきた社員が突然退職するような事態は、中小企業だけでなく大手企業でも避けたいリスクの一つです。
社員の退職によって新たな人材を採用する必要も生じますし、中小企業では、先に触れたように作業方法が属人化していることも多く、退職時の引き継ぎには多くの手間と時間がかかります。また、これまで育成に費やしてきた教育コストもすべて無駄になってしまいます。
しかし経理をアウトソーシングしていれば、退職リスクも新たに採用する手間もありません。

業務効率化
三つ目は「業務効率化」です。
アウトソーシングの導入時には、経理の業務フローを整理し、マニュアルの作成を行うことになります。
一度マニュアルとして形を作ってしまうと、窓口となる担当者が交代する際にも、スムーズに引き継ぎを行うことができます。
また、経理業務を正確に行うためには、常に最新の情報を確認しておく必要がありますが、アウトソーシングの会社では経理に特化した専門のスタッフが対応していますので、税制や社会保険などの情報のアップデートに対しても対応が可能です。
これまで自社で行っていた情報収集についても、専門性の高いサービスを受けることで、効率化することができます。
不正防止
最後は「不正防止」です。
経理業務が属人化してしまうと、周囲から何をしているのかが見えなくなってしまいます。
こうした執務の環境と、社員の心の中にちょっとした動機が生まれた時に不正は起こることになります。
性善説に頼る時代はすでに終わっています。
人を信じる前に不正防止の仕組みを作ることが何よりも大切です。
経理業務をアウトソーシングすれば、オンライン上にあるデータについてはログが残ります。万一担当者が不正な操作をしたとしても、履歴は必ず残っており、いつどのような不正を働いたか特定ができます。
経理業務をアウトソーシングすることによって不正防止にもつながります。
メリットまとめ
- 人材を採用するよりも人件費を削減することができる可能性が高い。
- 退職リスクが回避できる。
- 業務が効率化できる。
- 不正防止につながる。
アウトソーシングのデメリット
アウトソーシングのデメリットもみておきましょう。
ノウハウが蓄積されない
当たり前ですが、外注してしまうと、自社にノウハウは蓄積されません。
万一外注をストップする事態になったとき、社内にノウハウがなければ経理業務ができなくなってしまいます。
このあたりはバランスが必要ですが、窓口となる社員に対しては、実務は外注しても依頼内容は把握しておくようにとの使命付けが必要になります。
社内の実務スタッフの育成ができないことについては、しっかりと理解しておきましょう。
クラウド会計システムが必要
外注依頼先によっては、クラウド会計の導入が前提になる場合もあります。
アウトソーシングの導入に合わせて、クラウド会計システムの導入を検討するのも十分アリだと言えます。
特に、経験豊富な経理スタッフがいるうちに、こうした業務体制を構築しておくことは、事業の安定継続という点からもきわめて重要です。
選定ポイント
次に、アウトソーシング先を選定する場合のポイントについてまとめてみましょう。
費用対効果
アウトソーシング先を選ぶときは、「現在経理業務にかけているコスト」と「外注することによってどれほどコストが減らせるのか」の比較という観点から検討することが重要です。
業務ごとに負荷やコストを算出して、どこからどこまでを依頼すべきなのかをしっかりと判断していきましょう。
「アウトソーシングにかかる費用」だけでなく、「外注先をコントロールするための社内の業務がわかる人材」の人件費も考慮しておくことが重要です。
セキュリティ対策
アウトソーシングの際に気をつけなければならないのはセキュリティ対策です。
外注するときは、会社の売上や取引先、利益などの情報を依頼先に渡すこともあります。
もちろん、こういった業者はセキュリティ対策をしっかりと行っていますが、情報を外部に渡す以上、情報漏洩のリスクが100%ないとは言えません。
そのため依頼先を選ぶときは、セキュリティ面でどのような対策を行っているのかについてしっかりと確認しておくことが大切です。
オンライン(秘書)アシスタントは使えるか?
経理業務のアウトソーシング先として、具体的にどういうところが考えられるでしょうか。
このサイトで取り上げているオンラインアシスタント、オンライン秘書は、経理業務のみを対象としているわけではありませんが、経理業務の一部を依頼してみるという点では、十分使えると言えます。
オンラインアシスタント主要5社のサイトで経理業務の事例としてあげられている業務を抽出してみます。(あくまで一例です)
フジ子さん | クラウドツールの導入サポート 振込み、支払い補助代行 記帳代行 経費精算 etc.. |
Remobaアシスタント | 請求書発行 請求書送付 売上・入金確認 |
CASTER BIZ | 経理記帳 請求書・領収書発行 請求・支払事務 売上・入金確認 紙伝票データ化 |
タスカル | 経理記帳 振込み処理/入金確認 仕入れ管理/在庫管理 領収証発行 請求書発行 会社の売り上げ入力 計算書の作成 給与計算 |
i-STAFF | 記帳代行 請求書作成業務 振込・支払い代行経費精算 クラウドツールの導入サポート |
オンラインアシスタント、オンライン秘書については、経理業務以外にも様々なバックオフィス業務に対応しています。
本格的なアウトソーシングの前に、アウトソーシングとはどういうものかを柔軟に体験できる点、そして他のバックオフィス業務についても依頼できる点がメリットです。

経理特化型サービス
オンラインアシスタントサービスを提供している会社の中には、別途「経理特化型のサービス」を提供している場合もあります。
経理に特化したアウトソーシングを検討する場合、有効な選択肢になるでしょう。
ここでは主な3社を紹介します。
Caster BIZ accounting
まずはCASTER BIZ(キャスタービズ)が展開する「CASTER BIZ accounting」です。
「CASTER BIZ accounting」では、簿記2級以上の資格保持者や実務経験5~20年以上など経験豊富なプロが経理部門のオンライン化をサポートしてくれます。
オンライン経理部の構築実績は200社以上で、小さな会社の経理部の「新規立ち上げ」から、大企業の「既存業務のアウトソーシング」まで幅広く対応しています。
経理経験豊富なリモートアシスタントが、依頼先の業務フローを把握して、既存のツールを使いこなすことで、経理スタッフの急な退職にも最短1週間程度でサービスの開始が可能とのことです。
料金プランは以下の通り、6か月契約(BASIC)と12か月契約(LONG)があり、それぞれ月額で231,000円、207,900円(いずれも税込)という水準です。

また個別にカスタマイズしたい場合も対応可能です。
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Remoba経理
Remobaアシスタントを展開する株式会社Enigolは、経理に特化したオンラインサービス「Remoba経理」も展開しています。
実は、オンラインアシスタントより「Remoba経理」の方が早くからサービス提供されています。
オンラインスタッフには、クラウドサービスと経理に精通した優秀なスタッフが在籍しているため、自社の経理業務の効率化に期待できるでしょう。
マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトの導入支援やクラウドサービスを組み合わせた経理体制の構築、顧問税理士とのやりとりも依頼することができます。
請求書の発行から入金確認、経費精算、月次決算、支払い業務まで経理業務をまるっと依頼することができます。
「マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトを導入したくても、ノウハウがない企業」あるいは「マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトを導入したものの、うまく活用できていない事業所」にとっては心強い味方になるのではないでしょうか。
想定されるユーザーは10名以上の企業の代表や、役員、経理担当者です。
日々の業務をチャットやオンラインミーティングツールなど、コミュニケーションツールに柔軟に対応できるのでおすすめです。
料金プランは以下の通り、ミニマムプランとスタンダードプランがあり、それぞれ200,000円、300,000円(いずれも税抜)となっています。

また、プロフェッショナルプランとして、IPO準備、管理会計、予算管理など高度な経理体制構築と運用を行うメニューもあります。
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i-Staff Accounting
i-Staffを運営するファイブスターネットは、経理特化型オンラインアシスタントの「i-Staff Accounting」も展開しています。
「i-Staff Accounting」は、全国に100名以上のスタッフが在籍しており、「簿記2級以上を保持」「実務経験3年以上」「PC操作テスト」の基本3条件をクリアしたスタッフが、経理業務を遂行しています。
記帳代行だけでなく、請求書発行や出入金管理など経理業務は全て任せることができ、顧問税理士とのやり取りも可能です。
さらに、契約時間内であれば、経理業務以外のPC業務も対応可能です。
2~5名ほどのチームで業務対応を行いますので、スタッフが「休む・辞める」などの理由で業務が滞る心配はありません。
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クラウド会計導入
経理特化型のオンラインアシスタントサービスを導入する際には、合わせてクラウド会計を導入するのもいいかもしれません。
クラウド会計とは、インターネット上で会計処理を行うことができる会計システムのことで、パソコンにソフトをインストールすることなく、インターネット環境があればどこでも利用できます。
そういった意味で、オンラインアシスタントサービスとの親和性はかなり高い仕組みと言えます。
メジャーなクラウド会計は以下のとおりです。
まとめ
これまでアウトソーシングというと、どちらかと言えば大手が中心でしたが、環境の変化にともない、中小企業や個人事業主にも広がりを見せるようになりました。
人手不足の深刻化、DXの進展や働き方改革の浸透などにより、必ずしも自社で行うことが最適ではないという意識も高まり、それにつれて、様々なサービスが提供されるようになりました。
こうしたサービスを積極的に取り入れることで、自社の競争力を高めることが可能です。
このサイトでは、オンライン秘書、オンラインアシスタントサービスについて取り上げています。
主要な会社を比較した記事もありますので、ぜひそちらもご覧ください。
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